TANAKAコンサルティング 業務日誌

昭和44年開設の社労士事務所です。法人化後も変わらぬご愛顧を。

ニワトリが先か、卵が先か

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1月1日に開催された第66回全日本実業団対抗駅伝競走大会、Honda陸上競技部初優勝おめでとうございます。

出場常連となっていますが、以外にも初優勝だったのですね。

 


ところで、以前より埼玉製作所狭山完成車工場での車両生産を2021年度を目処に終了すると発表していましたが、令和3年12月27日に完成車生産を終了したことが発表されました。

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ホンダ狭山工場、完成車の生産終了 2~3年後に閉鎖: 日本経済新聞

 

狭山市民としては「ついにこの日がきたか」との思いでいっぱいです。

1964年稼働開始以来57年間、川越狭山工業団地で完成車の生産を行ったきた、いわば「狭山市の顔」ともいえる工場でしたが残念でなりません。

 

工場見学に行ったこともありますが、世界でもここではないかという完成車ラインが途中から2階へ上がっていくというとんでもない生産方法を採っており、見る方は楽しかったですが生産効率からすると甚だ非効率だったのだろうと思います。

寄居工場には広大な敷地が用意されていて、生産ラインは取り放題でしょうから今後はそちらに集約されるとのことです。

とはいえ、アルファロメオなどとともに世界に冠たるエンジン屋が、内燃機関の開発を止めて今後EVに注力するというのですからこれも世の中の流れなのでしょう。

 

当面は部品工場として存続し、2~3年内に閉鎖するということです。

 

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工場団地内にこれだけの敷地をもっていて閉鎖後の跡地利用は決まっていないということだと地元住民としてはとても困ります。

市としては税収は落ちるし、雇用も失われる。

心配されている土壌汚染を考えると再開発や売却再誘致も困難が伴いそうです。

 

完成車生産終了に伴い、埼玉製作所で生産していたオデッセイ、レジェンドの生産も終了するそうです。

この2車種はホンダを代表するブランド車でしたが、昨今売れているのはコンパクトカー・SUVなので、集中と選択ということからすれば戦略上必然なのかもしれません。

 

イデアやデザインといった知的財産へと産業構造が移っていく中、モノの生産という産業がどのようにして利潤をあげていくのか、経営戦略が難しい時代になってきています。

需要と供給ということでは、自宅に居ながらクリック一つで何でも買えるようになった簡便さからすると、製造・運送をはじめとする供給が追い付かなくなり物価上昇(インフレ)に向かうことは間違いないところです。

そんななか、「良いものをより安く」だけでなく「良いものを適正な価格で」に転換していかなければ政府が行おうとしている賃上げもままなりません。

 

海外では既に物価上昇が当たり前になっています。

米国マンハッタンでは、「ビリオネアーズ・ロウ(億万長者通り)」と呼ばれる一角にある96階建ての最上階にある六つのベッドルームを備えたペントハウスが1億6900万ドル(約194億円)で売りに出されたということで話題になりました。5年前に売買された時のほぼ倍だそうです。

 

このところインバウンドはコロナ禍のせいで下火になっていますが、来日する目的の多くはショッピングなんだそうです。日本は世界的に買い物天国、物価が安い国として見られています。

国民生活上、物価が安く、安定していることは悪いことではないのですが、経済的には困ったものでもあります。この20年賃金がほとんど上がっていない状況からするとデフレになってしまうのは仕方ないのですが、賃上げから始めるのか、物価上昇から始めるのかは難しいところです。

「ニワトリが先か、卵が先か」というのはアベノミクスの中の政策として生み出されてきた働き方改革にも大いに関係するところであります。

 

2022年は破壊と再生の年。

 

SDGsだけでなく、これからの経済、労務管理のゴールとして何を描き行動するべきなのか。

私たち社会保険労務士も、長・中期的視点で考えていかなければなりません。