TANAKAコンサルティング 業務日誌

昭和44年開設の社労士事務所です。法人化後も変わらぬご愛顧を。

一括有期事業の届出

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労働保険は「事業所ごと」に成立させる慣わしなので、建設業においては現場ごと(有期事業)に保険成立を行うのが原則です。

ただ、それだとあまりに事務が煩雑になり、事業所及び労基署労災課の負担が過大になることから「有期事業の一括」というものが認められています。

これにより、定年度内に終了した一括有期工事をとりまとめて保険料を算定することができます。

 

一括できる有期事業の要件は次の通り。


一工事の概算保険料が160万円未満でかつ、請負金額が1億8千万円未満(消費税額を除く)であること。(平成27年4月1日から)

 

また上のパンフレットにもあるとおり、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成30年厚生労働省令第138号)及び「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の規定に基づき厚生労働大臣が指定する種類の事業及び都道府県労働局の管轄区域を定める等の件を廃止する件」(平成30年厚生労働省告示第404号)が平成30年11月30日に公布され、①地域要件、②一括有期事業開始届の提出が廃止されました。

政府が推し進める「規制改革実施計画」の一環ですが、労働保険事務が簡略化については喜ばしいことです。

特に地域要件の廃止は地味に助かります。

 


これは知っていたのですが、先日請負高2500万円程の工事について成立届を労基署へ提出に行った時のこと。

 

1億8千万円未満の工事は、原則一括有期事業として取り扱い、個別成立の手続きは行わない」と言われました。

 

あれ?

一括は事務処理上の便宜のためであって、原則は事業ごとに成立→確定だから、一括有期事業として成立させなくても良いのではなかったっけ?

 

ということで、

これまで下請での施工が多く、数年に一度落札できた公共工事について元請になる事業所だったので、その都度個別成立して概算・確定を行うことでそれほど面倒ではなかったのですが、そうなると毎年概算・確定申告が必要となります。

 

有期事業開始届が廃止されたので、万が一の労災掛け忘れもなくなるし、一括有期の取り扱いも良いものではあるのですが、この事業所にのみ考えると「単独有期でいいのに」と思ってしまいました。

でも、入札で元請とれなければ ”0確定” というのもなあ。

概算保険料だって立てづらいです。

多く見込過ぎれば保険料支出が多くなってしまうし、少なすぎると数年に1度元請工事を行うと結構な確定不足が生じます。

仕方ないのですけどね。

 

ということで今回は備忘録として書き留めておきます。